蜂の子ハンター4

日本の山間部で愛されていた蜂の子。
山間部では、年に一回蜂の子の祭りが開かれ、シーズンになるとスーパーに蜂の巣が並びます。

「どんだけ蜂の子が好きなんだ!?」と思ってしまうかもしれませんが、健康食品や美容食品として人気を博している蜂の子ですから、地元で愛されているのは必然ではないでしょうか。

今回は、日本の山間部に伝わる「蜂の子文化」について、みなさんにご紹介させて頂きます。
私達の当たり前の食卓のように、現地の人々の食卓に、当たり前に蜂の子が入っているのです。

昭和天皇も大好きだった蜂の子

前述の通り、甘露煮や佃煮が有名ではありますが、蜂の子をご飯と一緒に炊き込んだ「蜂の子ご飯」や、多めの油で成虫を炒めた「蜂の油炒め」、寿司や餅に乗せて食べる「ヘボ寿司」「ヘボ五平餅」など、様々な文化が伝えられています。

蛹はクリーミーな味わいですが、幼虫には癖になりそうな独特の風味があり、昭和天皇も好物であったと言われています。
動物性蛋白質の乏しかった山間部に、古くから伝わる蜂の子の郷土料理は、一見すればゲテモノなイメージがあるかもしれません。

しかし、現在では、密かなブームとして、全国にファンが広がっており、年に一回行われる「ヘボ祭り」では、全国から多くのファンが詰めかけます。

長野県のスーパーで普通に販売されている蜂の巣

長野県では、蜂の子を捕獲する狩りを楽しむ人が多いと言われており、シーズンになると、蜂の巣を探しだす「スガレ追い」を行う為に準備を怠らないのだとか。

なんと、長野県ではシーズンになると、蜂の子を取り出す前の巣が販売されています。
土の中にある蜂の巣を見つけ出すのは、素人には無理でも、蜂の巣から蜂の子を取り出すくらいなら素人でも出来そうです。

こういった蜂の巣から、蜂の子を取り出すのも楽しいとして、愛好家や地元の人から親しまれています。
やってみると案外に大変なのですが、取り出したあとの美味しさは格別です。

土の中に10段以上の空間

スーパーで販売されている蜂の巣ですが、土の中にある巣を掘り出すとき、十分に巣が育っているものですと、10段重ね程の蜂の巣を手に入れることができます。
大きなものでは、1段が50cm〜100cm近くもあります。

蜂の巣は、マンションのように階層建てになっており、それぞれの階層で幼虫や蛹が育っています。
蜂の巣は、小さな六角形の穴が一面に連なったような構造をしており、その小さな穴が、幼虫や蛹の部屋として機能しています。
その穴は、蜂の巣全体で1万個以上もあります。

捕獲した巣を取り出し、ピンセットで一つずつ穴の蓋を開けて、中の幼虫や蛹を取り出します。
1万個の穴を全て開けるのは、気の遠くなる作業ではありますが、ひとつずつ丁寧にとり出さなければなりません。
昔の現地では、おじいちゃんと孫が並んで蜂の子を取り出すといった光景が、どの家庭にも普通にあったそうです。

やっぱり蜂の子が好き

全国にファンが拡大しているとは言え、やはり流行っているのはサプリメントや健康食品として加工された蜂の子です。
長野県で生産されている瓶詰めや甘露煮、佃煮などは、その見た目からどうしても敬遠されがちです。
飽食の時代にあって、無理に昆虫を食べる必要は確かにありません・・・。

しかし、現地の人々は、昆虫食としての蜂の子文化を大切にし、守ろうとする気持ちを大切にしています。
貧に困って、食べ物がなくてしょうがなく食べた物ではなく、栄養食品や薬として珍重されてきた蜂の子。
だからこそ、昭和天皇にも勧められた実績があります。

皆さんも、一度、本物の蜂の子を現地で食べてみて下さい。
その美味しさにきっと驚かれると思いますよ。